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コンベアとは?種類・失敗しない選び方・導入事例まで徹底解説

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物流倉庫や製造工場において、モノを運ぶ「搬送」は業務の根幹を担うプロセスです。人手不足が深刻化する昨今、搬送作業の自動化・効率化は企業の競争力を左右する重要課題となっています。
その解決策として最も基本的かつ重要な設備が「コンベア(コンベヤ)」です。しかし、種類や特徴を深く理解せずに導入してしまい、「音がうるさくて作業環境が悪化した」「レイアウト変更ができずに困っている」といった失敗事例も少なくありません。
本記事では、コンベアの基礎知識から、多岐にわたる種類の違い、そして導入後に後悔しないための選び方を徹底解説します。
さらに、従来のコンベアが抱える課題(騒音・安全性・柔軟なレイアウト変更など)を解決する伊東電機の「MDR式コンベア」や、自動ラックとの連携による倉庫全体の最適化、導入に使える補助金情報まで網羅した情報をお届けします。
コンベアとは?基本構造と3つの役割
コンベア導入を検討する際は、まず「コンベアとは何か」「どのような構造を持ち、現場でどんな役割を果たすのか」を正しく理解することが重要です。
ここでは、コンベアの基礎知識を分かりやすく解説します。
コンベアとは?
まずは、コンベアの基本から押さえておきましょう。
コンベアとは、モーターなどの動力を用いて、材料・製品・荷物などを連続的に自動搬送する機械装置の総称です。
物流現場や製造現場では、欠かせない存在として幅広く活用されています。
コンベアの役割は、単にモノをA地点からB地点へ運ぶことだけではありません。
- 省人化:人手作業を減らし、人員配置を最適化
- 省力化:作業者の負担軽減・安全性向上
- 省スペース化:限られた空間を有効活用
といった「3つの省」を実現し、現場全体の生産性を大きく向上させる重要な役割を担っています。
コンベアの基本構造
コンベアは主に以下の3つの要素で構成されています。
- 駆動部(ドライブ): モーターや減速機など、コンベアを動かすための動力源
- 搬送部: ベルト、ローラー、チェーンなど、直接荷物を載せて運ぶ部分
- 機枠(フレーム): 上記の部品を支え、ラインを形成する骨格部分
これらの要素が組み合わさることで、コンベアは安定した連続搬送を実現しています。特に、何をどのように運ぶかによって「搬送部」の形状や材質が大きく異なり、それがコンベアの種類の多様性を生み出しています。
コンベアが担う3つの役割
なぜ現場にコンベアが必要なのでしょうか。その役割は大きく分けて3つあります。
- 省人化(人手不足の解消)
これまで人が台車で行っていた搬送作業をコンベアに置き換えることで、搬送要員を削減。付加価値の高い作業に人を集中させることが可能です。
- 省力化(作業負荷の軽減)
重量物の運搬や長距離の移動は、作業者の身体的負担になります。コンベア導入により重労働から作業者を解放し、安全な職場環境を作ります。
- 生産性向上(処理能力アップ)
「運ぶ」時間が短縮され、かつ一定の速度で淀みなくモノが流れることで、工程全体の処理能力(スループット)が向上します。
【種類別】コンベアの全体像を徹底解説
コンベアには搬送物の形状や用途に合わせて非常に多くの種類が存在します。ここでは代表的なものを「搬送方式」で分類し、それぞれの特徴を解説します。
1. ベルトコンベア

特徴: エンドレスに繋がれたベルトをモーターで回転させ、その上に搬送物を載せて運ぶ、最もシンプルで汎用性の高いコンベアです。材質(ゴム、樹脂、メッシュ等)、表面加工(滑り止め、耐油、耐熱等)の選択肢が豊富で、多種多様な搬送物に対応できるのが最大の強みです。
長所:
- 比較的安価で導入しやすい。
- 小さなものから袋物、不定形なものまで、安定して搬送できる。
- 傾斜搬送や、静音性が求められる環境にも適している。
- ベルトの交換やメンテナンス時には搬送ライン全体を停止する必要があり、影響が広範囲に及ぶ。
- 構成部品の点数が多く、交換やメンテナンスが必要な箇所が増えやすい。
短所:
- ベルトの蛇行調整や、摩耗・損傷による定期的な交換が必要。
- 油や鋭利なもの、高温物など、ベルトを傷める可能性がある搬送物には不向きな場合がある。
主な用途:
- EC・通販の物流センターでの段ボール箱や梱包物の搬送
- 食品工場でのパック詰め商品や原料の搬送
- 空港での手荷物搬送
- 鉱山や建設現場での土砂や骨材の搬送
2. ローラーコンベア

特徴: 複数のローラーをフレームに配列し、その上を搬送物が転がって移動するコンベアです。底面が平らで硬い段ボール箱やコンテナ、パレットなどの搬送に適しています。動力を持たない「フリーローラー式」と、動力を持つ「駆動ローラー式」に大別されます。
- フリーローラーコンベア
動力を持たず、作業者が手で押すか、コンベア自体に傾斜をつけて重力で搬送物を滑らせます。短距離の移動や、作業台としての使用に適しています。
- 駆動ローラーコンベア
モーターの動力を利用してローラーを回転させ、搬送物を自動で運びます。この駆動の伝え方には、「チェーン駆動」「ベルト駆動」、そして次世代の方式である「モーターローラー(MDR)駆動」といった種類があり、それぞれ性能が大きく異なります。この駆動方式の違いが、コンベアの静音性、省エネ性、制御性を左右する重要なポイントとなります。
長所:
- 構造がシンプルで、メンテナンスが比較的容易。
- 重量物の搬送にも対応できる堅牢な機種が多い。
- 駆動ローラー式は、後述する「アキュームレーション(滞留)」機能を持たせやすい。
短所:
- 底面が平らでないもの(袋物など)や、柔らかいものの搬送には不向き。
- ローラー間の隙間に小さな搬送物が落ち込む可能性がある。
主な用途:
- 物流倉庫の入出荷ライン、仕分けライン
- 製造工場の組立ライン、検査ライン
- パレット搬送
3. チェーンコンベア

特徴: ローラーの代わりにチェーンを回転させ、その上に直接パレットや重量物を載せて搬送するコンベアです。非常に堅牢な構造で、過酷な環境や重量物の搬送に優れた性能を発揮します。
長所:
- パレットやコンテナ、エンジン、金型といった数トンクラスの重量物搬送が可能。
- 高温・低温環境や、粉塵、油などが存在する悪環境下でも安定して稼働する。
短所:
- 駆動音が大きく、高速搬送には不向き。
- 導入コストやメンテナンスコストが比較的高価になる傾向がある。
主な用途:
- 自動車工場や製鉄所での重量部品の搬送
- 冷凍・冷蔵倉庫でのパレット搬送
- 塗装ラインや乾燥炉など、特殊環境下での搬送
4. その他の特殊なコンベア
上記の3種類以外にも、特定の用途に特化した様々なコンベアが存在します。
- スクリューコンベア
スクリュー(ねじ状の羽根)を回転させ、粉や粒、液体などを押し出すように搬送します。セメントや小麦粉、飼料などの搬送に用いられます。
- バケットコンベア
バケット(箱)をチェーンやベルトに取り付け、垂直・傾斜方向に粉粒体を搬送します。高所への原料投入などに利用されます。
- 垂直搬送機
荷物を載せたケージ(かご)やトレーを、エレベーターのように上下階に搬送する装置です。省スペースで階層間の搬送を実現します。
【種類別】コンベア比較早見表

【失敗しない】コンベアの選び方 5つのステップ
自社に最適なコンベアを選ぶには、順序立てた検討が重要です。カタログを眺める前に、まずは以下の5つのステップで要件を整理しましょう。
Step 1:搬送物(何を運ぶか?)を明確にする
- 形状: 段ボール、袋物、パレット、粉体など
- サイズ: 縦・横・高さ(最大・最小)
- 重量: 最大・最小
- 特性: 壊れやすい、滑りやすい、高温/低温など
Step 2:能力(どれくらい運ぶか?)を定義する
- 搬送速度: m/分
- 処理能力: 個/時間
Step 3:環境(どこで使うか?)を確認する
- 場所: 屋内か屋外か
- 温度・湿度: 常温、冷凍・冷蔵、クリーンルームなど
- 特殊条件: 水や油、粉塵の有無
Step 4:レイアウト(どう配置するか?)を設計する
- 経路: 直線、カーブ、合流、分岐、傾斜の有無
- 寸法: 設置スペースの寸法、柱や障害物の位置
Step 5:目的(何を解決したいか?)を再確認する
- 機能: 単純な搬送か、仕分けや一時保管(アキュームレーション)も必要か
- 優先順位: 導入コスト、静音性、省エネ性能、メンテナンス性など、何を最も重視するか
コンベア導入のメリットと知っておくべき安全対策
コンベアは生産性を飛躍させる一方、安全な運用には知識が必要です。
導入の5大メリット
- 生産性向上、品質安定、作業環境改善、省人化、コスト削減
労働安全衛生規則に基づく安全対策
- 巻き込まれ防止: 非常停止装置、安全柵、安全カバーの設置義務
- 挟まれ防止: コンベア間の隙間管理
- 定期点検の重要性: 始業前点検、定期メンテナンスの項目例
- 緊急時対策:防火対策、停電・災害時の安全停止
コンベアの未来を拓く、伊東電機の「MDR」テクノロジー
ここまで一般的なコンベアについて解説してきましたが、従来型のコンベア(特にACモーターとチェーン/ベルトで駆動するタイプ)には、共通の課題がありました。
従来型コンベアの課題
・大きな駆動音
大型ACモーターとチェーン駆動による騒音は、作業者のストレスとなり、コミュニケーションを阻害します。
・エネルギーの無駄
荷物がなくてもコンベア全体が常に稼働し続けるため、多くの電力を無駄に消費します。
・複雑な制御
速度変更や、荷物を一時的に停止・滞留させる「アキュームレーション制御」には、複雑な配線や追加の制御機器が必要でした。
・メンテナンスの手間
チェーンの張り調整や給油、ベルトの交換など、定期的なメンテナンスに加え、交換部品が多く手間とコストがかかります。
これらの課題を根本から解決し、コンベアの常識を変えるのが、伊東電機が世界に誇るコア技術「MDR(モーターローラー)」です。
MDRとは?

MDR(Motor Driven Roller 商品名:パワーモーラ)とは、ローラー1本1本に小型・高効率のDC24Vブラシレスモーターとギアを内蔵した、次世代の駆動ローラーです。外部に大きなモーターを必要とせず、ローラー自体が動力源となる画期的な技術です。
伊東電機では、このMDR技術を核とした様々な搬送ソリューション(コンベアモジュール)をご用意しています。
▼ 伊東電機のMDR製品ラインナップはこちら
▼ MDRを搭載したコンベアシステム「id-PAC」はこちら
MDR式コンベアがもたらす4つの革命
①圧倒的な静音性: 働く人に優しい、静かで快適な作業環境を実現。
②驚異の省エネ性能: 荷物が来た時だけ動く「ランオンデマンド」方式で、消費電力を大幅に削減。
③インテリジェントな制御: ゾーンごとに速度を自在に制御。荷物を止めたり、溜めたり(アキュームレーション)が簡単。
④安全・簡単メンテナンス: DC24Vの低電圧で安全。チェーンやベルトがなく、メンテナンスの手間を大幅に削減できます。
【導入事例】伊東電機のコンベアが解決した現場の課題
MDR搭載コンベアが、実際の現場でどのように活用されているかをご紹介します。
事例1:メディエントランス株式会社様(医薬品物流)

<企業概要>
メディエントランス株式会社様は、医薬品関連のオンラインショップ運営に関わる物流業務を担う企業です。
<導入前の課題>
オンラインショップの拡大に伴い、受注量の増加に対応できるデリバリー体制の強化が課題となっていました。
特に求められていたのは、ピッキングされた商品を検品・梱包作業者のもとへスムーズに届ける仕組みです。さらに、将来的な業務量の変化を見据え、レイアウト変更や増設に対応しやすい搬送ラインも必要とされていました。

<導入した解決策>
こうした課題に対し、伊東電機が提案したのが、MDR式マテハンを活用した「id-PAC制御」のソリューションです。
MDR駆動のストレートコンベヤや直角分岐モジュールを組み合わせることで、ピッキング後の商品や梱包資材を、検品・梱包作業者へ効率よく搬送できるラインを構築しました。マテハン機能ごとのモジュールを自由に組み合わせられるため、現場に合わせた柔軟なレイアウト設計が可能です。
<導入後の成果>
導入後は、ピッキング後の商品や梱包資材の搬送がスムーズになり、検品・梱包作業までの流れが効率化されました。
また、他社製の封函機の納期が間に合わない状況でも、伊東電機のシステムを先行して稼働。これにより、操業開始の遅れを避けることができました。封函機の設置に伴うレイアウト変更にも短期間で対応し、自動化ラインの完成へとつなげています。
MDR式コンベアは、ライン設計・設置・変更をユーザー側でも行いやすい点が特長です。将来的な増設やレイアウト変更にも柔軟に対応できるため、変化の多い物流現場に適した仕組みといえます。
事例2:薬品メーカー(クリーンルーム搬送ライン)

<企業概要>
医薬品の製造・販売を行う大手薬品メーカーです。厳格な衛生管理と作業環境が求められるクリーンルーム内で、生産ラインを運用しています。
<導入前の課題>
クリーンルーム内のパレット搬送ラインでは、従来のコンベア駆動方式により床面が高くなりやすく、出入口のバリアフリー化が困難という課題がありました。
また、エアー駆動を採用していたため、ピット工事やエアー配管工事が必要となり、導入・維持の両面でコストが大きくかかっていました。
<導入した解決策>
これらの課題に対し、伊東電機のMDRパレット搬送コンベアを導入しました。
MDR方式を採用することでコンベアの低床化が可能となり、あわせて直角分岐装置を組み込んだ柔軟なレイアウトを実現しています。
<導入後の成果>
コンベアの低床化により、出入口のバリアフリー化を実現。さらに、エアーレス化によってピット工事やエアー配管工事が不要となり、大幅なコスト削減につながっています。
加えて、MDRの高い静音性により、クリーンルーム内の作業環境も改善されました。
まずは伊東電機にご相談ください
今回は、コンベアの種類から選び方、そして次世代技術であるMDRまで、網羅的に解説しました。
コンベアの導入は、単なる設備投資ではありません。それは、生産性を向上させ、働く人を重労働から解放し、企業の競争力を高めるための戦略的な一手です。特にMDRのような先進技術は、省エネや労働環境改善といった現代的な経営課題にも直接的に貢献します。
また、倉庫全体の最適化を目指す上では、「保管」を担う自動ラックやシャトルラックといったシステムと、「搬送」を担うコンベアをいかにシームレスに連携させるか、という視点が不可欠です。
伊東電機は、コンベア単体だけでなく、お客様の扱う商品、物量、倉庫のレイアウトを丁寧にヒアリングし、保管から搬送までを見据えた最適な物流ソリューションをご提案いたします。
導入にあたっては、以下のような補助金・税制優遇制度を活用できるケースもあります。
■事業再構築補助金
■中小企業投資促進税制
■中小企業経営強化税制
■ものづくり補助金
「今のコンベアに不満がある」「新設ラインで失敗したくない」とお考えの方は、ぜひお気軽に伊東電機までお問い合わせください。物流のプロフェッショナルが、貴社の課題に最適なソリューションをご提案いたします。




